君は笑った。「今が一番」と

俺も笑った。だって君が笑ったから…


































遠いあの日は君と笑った尊いあの日










































「またか!」



先生が怒鳴る声が、隣の教室から聞こえた。

周りの女子、男子が「また〜」とか言ってるのが聞こえた。

当の俺も、そんなことを考えていた。

なんで先生が怒ってるのか、その原因はなにか…なんて。

この学校の全校生徒が知っているのではと思う。

その原因というのは、この学校の問題児。である。

は、この学校始まって以来の問題児であって、

俺の幼馴染である。

まったくもって、どうしてこんな子になってしまったのか…

なんだか親の心境だ…

そして、問題がおきると、先生は決まって俺のクラスに現われてこう言う。




「櫻井!櫻井!を連れ戻してこーい!」



はいはいわかってますよ。

ため息交じりで教室を後にした。

まぁ、こんなこと日常茶飯事だから気にしてないけどね。




〜出て来いって、どうせココにいんだろ?」

「あ、バレた?」



ヒョコッと木の陰から現れたのは、言わずと知れた俺の幼馴染である。

俺は「降りて来い」と一言いって、木のそばに近寄った。



「えっへへへvかったるい授業なんかやってらんないっつの」

「お前成績やべーんだろ?高校入れないんじゃねーの?」

「…へーんだ。い…いいも〜んだ。高校なんて入んなくても」

「言ってろよ」



そう言うと、はグジグジといじけはじめた。

さわやかな風は、この公園の入り口から出口へと、一歩通行に流れていた。

俺は、フと空を仰いだ。

青く青く広がる空。きっと今日は星がたくさん出るだろうと、小さな予想をたてた。




「しょぉ〜…風が気持ちいいね〜v」

「だな…」

「翔は…高校行きたい?」

「…は?当たり前だろ。行かなきゃ両親が泣くっつの!」

「だーよね〜vあははは」

「そういうは?やっぱり行きたいでしょ。高校」

「…私…今が一番だから」


は、少し寂しげに笑った。

どうしたのか、なんて、さほど気にしなかったこのときの俺は…

きっとどうかしてたのだろう…



「今が一番か…だよな!こんなにサボってもやってけるのは今だけだし!」

「そうそうv今!今が大切なのよ!」

「って言っても未来も大切だけどな…」

「……あはははは(苦笑)」





俺は思ってた。信じてたんだ。

この二人のときが、ずっと続くんだって…

普通そう思うよね…だって、幼稚園から一緒で…小学校中学校。

ずっと一緒で、お互いのことを、相手がよくわかっている存在で、

一緒にいるだけで安心できる…はそんな存在だった。














この日を境に、は学校へ来ることはなかった。






またサボリかと、俺はそう思った。実際クラスのみんなもそう思ったに違いない。

でも、本当のところ違ったらしい。

先生に「。体調が悪いらしいから、このプリント届けといてくれよな」と、プリントを帰りざまに渡された。

体調が悪い…風邪でも引いたのだろうか。

まぁ、家が近いから別にいいんだけど………



































ピーンポーン



『はい。どちら様ですか?』

「あ、俺です。翔です」

『あ、翔君?どうぞ、鍵開いてるわよ』

「じゃぁお邪魔します」


プツッと、電子音が切れる音がした。

俺は門をくぐり玄関のドアを開けた。

ここ最近の家なんて来てなかったから、少し懐かしい感じがした。

そのまま、玄関でたちすくんでいると、おばさんが2階から降りてきた。



「翔君久しぶりね〜v大きくなって…」


と。定番めいた一言を、おばさんは発した。


「いや、そんな大きくなってないですよ?」

「そうかしら…それにかっこよくなったわv」

「ありがとうございます」

「で、何か御用?」

「あ、コレなんですけど、のプリントです」

「あらぁ、どうもvあとで渡しておくわね」

「あの…で、元気ですか?」

「まぁ、今までよりはたいした事ないけどねぇ」




……今…なんて?今までよりは…何がたいした事ないって…





「そ…それってどうゆう」

「え?翔君聞いてないの…?あの子…ずっと黙って」

「どうしたんですか!は!」





おばさんは少しためらったが、俺が強く押したためか、フゥと一息漏らしたあと俺に話し始めた。












































今日休んだ理由は、『発作』らしい。なんの発作なのかは、俺にはよくわからなかった。

でも、その『発作』はもうかれこれ6年も前からだと言う。

最初はただの風邪だと、そのまま放っておいたら、ある日重い病気だと医師に告げられたらしい。














































俺は何をしていたのだろう…
























































その日から、俺は学校から帰ってきたら自分の家にも帰らずの家に入り浸っていた。

「大丈夫?」「寝てた方がいいんじゃない?」「いいって、俺がやってやるよ」

このセリフを何回言っただろう。

そのたびには「大丈夫v」と、一言言うだけだった。

本当に?それは本音?嘘ついてるんじゃない?

そう言ったら、は「そんなに信用できない?」って笑って言うかもしれない。

信用してないわけじゃなくって、信用したいんだけど、俺は今までの体の知らなかったことは事実だし。






は、どうして俺に黙ってたんだろう。












































素朴な疑問を抱えつつ、が学校に来なくなってから一月が経とうとしていた。

そんな中、は相変わらず元気で、病気なんて嘘のようだった。
































































そんな中、俺は素朴な疑問をに聞いてみようと決めた。



































































。一つ聞いていい?」

「別に…いいよ」

「俺が聞きたいこと、なんだかわかる?」

「なんとなくだけどわかるよ、長い付き合いだもんv」

「じゃぁ聞くけど、どうして俺に…『発作』のこと言わなかった?」

「だって、言ったら心配するじゃん」

「っんなの!言わない方が心配するだろ!」

「そんな感傷的にならないでよ。私だって悩んで泣いたことだってあるんだから」

「だっ…俺、お前のこと全部わかってたつもりで」

「………」

「俺…馬鹿ジャン?」

「…………」

「俺に、嘘ついてたの?」

「嘘なんてついてない!」

「同じだろ!ずっと俺を騙してたんだ!」

「違う!翔聞いて!」

「嫌だ!俺、お前のこと」

「翔はいつもそうだった!人の話まるで聞いてなくて」

「悪かったな!もう俺帰るよ」

「私の一番大切なことが一つもわかってない」

「じゃぁな!」

「私まだ返事貰ってないからね!」









































バタン…







































ドアを閉めたあと、ドアの向こうで声をこらして泣いている声が聞こえた。

俺の、心が泣いているよ。

ホラ。俺の頬をつたうものは何?涙でしょ?

俺は、これほどを思っているのに…




































































































































俺は…







































わかってた面して、なんにもわかってなかった自分が、情けなくて、恥ずかしくて。

俺は、6年間の間、の何を見てたんだよ。

何を知ってたんだよ。俺、知ってたつもりで、馬鹿…だよね。

優しく、慰めることすら出来なかった。


































なぜ、こんなに大きくなってしまったのだろう。

素直な思いを声にすることをためらい、素直な気持ちを表に出すのをためらい。

大事な人に、大切なことが言えない…このもどかしさ…

































































































『しょぉちゃん。ね。しょぉちゃんに大切なお話があるの』

『ん、何?』

『あのね………』

『?』

『私しょぉちゃんのこと好きなんだ!』


















































「『好き』…か、」



俺は、数年前のことを思い出していた。

そう、俺がちょうど6歳。が5歳の時。

そのときは、たしかの誕生日の3日前だった気がする。












































『誕生日までに、お返事してね…』























































アレ…

そういえば…
















































「……俺…返事…してない……?」










































『私まだ返事貰ってないからね!』

















アレはそういう意味だったのか…


































































「行かなきゃ!」










































俺は急いで家を飛び出した。

母のとめる声も聞かずに、一目散にの家に向かった。









































。ゴメンネ。誕生日の日。俺…その日行けなかったんだ。

交通事故にあってさ、たいしたことなかったんだけど、母さんが心配して、家で…

。俺をずっと待ってたんだろ?ずっと、

なのに、俺…





ちゃんと返事、決まってたのに…






『俺もだよ』って、言おうと決めてたのに。

恥ずかしいなんて感情。なければヨカッタんだ。

そうすれば、今ごろは…きっと俺たち。

両思い…だったのにな。




















































ガンガンガン!















!俺、返事しに来たよ!!」






















ガチャっ









































「…お…じさん?」

なら、さっき救急車で病院に行ったよ」

「え……まさか」

「『発作』が、またね。でも、今回は違う。今回は、『発作』で終わらないかもしれない」

「それって、どういう」

「死ぬってことだよ」

「……っ」

「行ったげてよ。のトコ。こんなオヤジじゃ、の笑顔は見れないらしいんでね」

「あ、あの、俺」

「行ってらっしゃい」













はにかみ笑いのおじさんは、今にも泣いてしまうそうな顔をしていた。

それでも笑って、俺を迎え出してくれた。

さっきって言ったから、まだ間に合うかもしれない。

生きていて、。俺、返事するよ。



















































































ガシャーン





俺は自転車を自転車置き場に乗り捨てて病院に駆け込んだ。

途中で看護婦さんに怒られたような気がしないでもないが、でも、俺はを見つけなくちゃいけないんだ。

今だけは、どうか許して…






















闇雲に走って、やっとのことでイスに座るおばさんを見つけた。



































「おばさん!は!」

「あ、あぁ、翔君。ごめんなさいね、私ったら混乱してて連絡入れるの忘れて…」

「そんなことはどうでもいいんです!は!は何処ですか!」

「そこよ」





そっと指差したのは、ガラス張りの部屋の中だった。

ドアの上には「手術中」の文字が。赤く、怪しく光っていた。

この中…入れないのか?

、この壁が、俺を拒むよ。

に返事、できないじゃん…












俺は、泣き出した。

「くそっ…クソッ!」

ドアをどんどんと、手術中にもかかわらず。俺は非常識にその壁を叩いた。









『私しょぉちゃんのこと好きなんだ!』



ゴメン。



『誕生日までに、お返事してね…』


俺、返事できないかもしれない…





























































































































「…私…今が一番だから」

































































































……好きだよ。
























































































「開けて!お願いだから…俺、アイツに返事しなきゃ…」


ドンドンドン…



「俺、恥ずかしいからって、言えなかったんだ」




ドンドン…





は言ってくれたのに…」





ドン…







「言わなきゃ!だって今日は…」







ドッ…











































ウィーン……
























「…あまり、ドアを叩かないでくれるかな?」

「お願いします!入れてください」

「それは…」

「お願いします!俺、伝えたいことがあるんです!」

「それはダメです」

「お願いします!!」



















































































































ピーーーーーーーーーッ










































































































へ?























「先生!患者の容態が!」

「あ、わかりましたっ…」

「どいて!!!!!!!」

「あ!君!」






俺は、お偉いお医者様を跳ね飛ばして、のすぐ傍まで駆け寄った。

周りの看護婦が止めるのにも屈せず、俺はに話し掛けた。



?おい!俺の声聞こえてるか!?」




シュコーシュコー…




「しょ…しょぉ」



かすかな声で、本当に聞こえるか聞こえないかの声でが声を発した。




、俺返事しに来たよ!」

「返事?…あ…思い出してくれたんだ?」

「ゴメンな…俺、かなり待たせて…」

「ううん。気にしてない…今…今が…一番だ…から」

!しっかりしろっ!?」

「私嬉しいんだ。ずっと翔と幼馴染だったことが、同じクラスの子に羨ましがられたりしたんだv」

、何言って…」

「例え、翔が私のこと好きじゃなかったとしても、それでも私は…」

「え?」

「ずっと好き…だよ。翔のこと…」

………俺っ」









































































































































ピーーーーーーーーーーーーッ






















































































































…??…ど…どうしたんだよおまっ…」

「ホラ!君どいて!」

?俺まだ返事……」

「心臓マッサージだ!」

「君は外で待っててね」


















































ウィーン…パタン…




看護婦さんに連れて行かれ、ドアの外へと出された。














































ぽたっ…ぽたっ…







































どうして、いっつもこうなんだ。

大事なことが伝えられない…恥ずかしいなんて…思わなければ…








この頬につたうものはナニ?『ナミダ』?










どうして、こんなに出るんだろうね。

不思議だ…

この姿を君が見たら、「男のクセに」って笑うんだろうな…否、絶対笑うな…

男だって泣くときは泣くんだよ…俺、見た目より、強くないから…

君が傍にいてくれなきゃ…この涙、止まらないよ…





…うぅ…うああああああああああああああ…」











俺は、その後狂ったように泣いた。

声が嗄れるまで、目が腫れるまで、涙が枯れるまで。

この思いが、このもやもやが晴れるまで…
































































































































その後、は天に召されたようだ。

俺は泣きつかれておばさんに家まで連れて行ってもらったらしい。

次の日、俺は学校を休んで、葬式の手伝いをした。





箱に入ってるの変わり果てた姿を見て、また胸が締め付けられた。

ごめんね…伝えてあげられなくて、ごめんね…素直になれなくて…





俺はのおでこに、そっとキスをした。



















































それから、俺はの分も人生楽しもうと決めた。

今が一番だ!と、胸をはって言えるような人生を送ろうと決めたんだ。

最初で最後の初恋は、苦くて切なくて、でも甘い…

……俺、今も、これからも、がずっと大好きだよ…









青空さんリク!翔君の切な系ドリ!
こんなんでいいでしょうか?っつーか、切なくかけてますか?
ってか、切な系でOK????????????
イメージが違かったらごめんなさい〜><一生懸命書いたんだけどね〜…
あはははは…ごめんなさい…(汗)










































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































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